まだまだ大丈夫だと思っていませんか? あなたの老眼度チェック!
雑誌『一個人』編集部です。
最近よく話題になっているのが、「スマホ老眼」。
あなたは大丈夫ですか?
「まだ若いから」と安心していると手遅れになるかもしれません。
そこで、梶田眼科 院長の梶田雅義さんに老眼のチェック方法と日常のアイケアをご紹介していただきます。
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まだ近くも遠くも見えるから大丈夫と思っていても、実はそれでは遅いのが老眼。どんどん進行してしまいます。そのサインを見逃さず、早めに対処することが大切です。
[チェック項目]
①午前中はよく見えるのに、 夕方は遠くがかすんで見える
②近くを見てから、遠くを見るとなかなかピントが合わない
③手元を見るとき、かすんで見える
このチェック項目だけでなく、日常の変化も見逃さないようにしましょう。パソコンの新しいソフトにトライする気力がない、今までのように化粧がうまくできない、皿がきれいに洗えない、ヒゲの剃り残しに気づかない……などの変化があったら要注意です。
手元が見えにくくなる前のサインを見逃さない!
「午前中は遠くでもしっかり見えていたのに、夕方になるとかすんでしまう。朝と夕で見え方が変わってくるのが、老眼で一番最初に現れる症状です」と梶田さん。いわゆる「夕方老眼」と呼ばれる症状です。加齢とともに出てきますが、最近は若い世代でもよく見られ、パソコンやスマホで目を酷使していることが影響しています。
「できれば、こうした症状が出た段階で遠近両用眼鏡を使い出してもらいたい」と話す梶田さんですが、深刻にとらえる人はまだ少ないのが現状です。それは目をこすったりすれば、なんとか見えるからです。
「その次に起こるのは、近くを見てから遠くを見た時、ピントが合うのに時間がかかるといった現象。遠くから近くに目を移した場合よりも、早期に出てくるケースが多いです」
このあとに出てくるのが、手元が見えにくくなる症状。こうなると本物の老眼だといいますが、この段階で対策を打ち出すのでは遅いと警告します。
「ピントを合わすのに余力があるうちに、遠近両用眼鏡を使いだしたほうがいい。そうすれば、眼鏡に早く馴染み、自分の体の一部と感じることができます。朝起きた時から寝る直前まで、ずっとかけていると違和感がなくなります」
目を労わる日常のアイケア7選
目をケアするには、温める、マッサージ、遠くを見るなど、さまざまな方法があります。ここでは簡単にできて効果的なものを取り上げたので、ぜひ実践してみてください。
目の疲れをとるための大切なポイント
最近、オーストラリアで提唱されている目のケアが注目されています。それは「3つの20」というもの。20分間、近くの物を見たら、20秒間、20フィート(約6m)離れた場所を見て、目を休ませようというものです。近視の進行を抑えるために編み出された方法ですが、これは老眼のケアにも通じると、梶田さんは話します。
「もしSE(システムエンジニア)さんだったら、20秒間もパソコン画面から目を離せないような気もしますが、考え方としては正しい。実は、私はもっとずっと前から似たようなことを考えていて、患者さんたちに指導している方法があるんです」
それは「10分間に1回、1~2秒間、遠くを見よう」という方法。梶田さんが大学にいた頃から、患者たちに推奨してきました。
「視線を3~4mほど移すだけでも構いません。1~2秒なら、SEさんでも仕事に支障はないでしょう。パソコン画面を見続けているような場合、水晶体の上下にある毛様体筋は収縮しっ放しになっているので、時々ゆるめてあげないといけない。こうしたことを意識的に習慣化していけば、目にはとてもプラスになるはずです」
寝る前に遠くを見るのも同様です。
「遠くを見ることで目の疲れをとるのです。そのまま就寝すると、疲れを朝
まで持ち越してしまうことになる。見る距離はピントが合うぎりぎりの遠い
ところを目安とするのがコツです」
目を温めるのも、疲れをとるには効果的。目のまわりの血流が良くなり、
疲れが軽減されます。
「お風呂に入っている時に、お湯に浸してから絞ったタオルを10分ほど、目
の上に乗せておけばいいでしょう。市販のホットアイマスクもありますが、
なかには温度が上がりすぎるものもあるので、低温やけどにはくれぐれも注
意してください」
以前、常識だったことが今では通用しないものもあります。たとえば、ブルーライト。パソコンの液晶画面が発するブルーライトが目に良くないとされ、それをカットする眼鏡が売り出されました。ブルーライトを多量に浴びると、睡眠を促す働きを持つホルモン・メラトニンの分泌が抑制されることがわかっています。
「初期の頃のパソコンはブルーの色が強かったようですが、その後は改良さ
れ、それほど強くなくなり、目への影響もほとんどない。目に悪いと広めた
のは一部の眼鏡屋さんたちですが、ブルーライトカットのレンズで今の画面
を見ると、暗くなってしまい、かえって目に良くありません
①目を温める
目を温めることで、毛様体筋の緊張がほぐれます。入浴の際に湯に浸して絞ったタオルをまぶたの上に乗せ、お風呂に入りながら10分ほどリラックスすると効果的。市販のホットアイマスクを使用する場合は、低温やけどに注意してください。
②目を閉じてマッサージ
「顔を洗う際に、まぶたを指でマッサージすると、目の周囲の血流が良くなるので、ぜひ習慣化してほしい」と梶田さんは勧めます。目のまわりには眼精疲労に効くツボもたくさんあるので一石二鳥。眼球を押さないように気をつけましょう。
③寝る前に遠くを見る
ふとんに入る前に必ず遠くを見る習慣をつけておきましょう。できれば、ピントが合うもっとも遠いところを見るようにします。この手順をせずにそのまま眠ってしまうと、前日の目の疲れが朝まで残ってしまうことに。
④強い瞬きを繰り返す
強く瞬きをすると、上下の眼瞼にあるマイボーム腺という場所から脂が出てきて涙に混ざります。すると、乾きにくい涙になって目をうるおすことができるのです。コロナ禍の中、テレワークで急増しているドライアイを改善することにもつながります。
⑤仕事中などは目を冷やす
目のケアでは温めるほうが効果があるとされていますが、冷やしたほうがいい場合もあります。仕事のしすぎで目が充血していたり、炎症を起こしているケース。目の中の血管が膨張している時に温めては逆効果です。冷やして血管や筋肉を収縮させるのがベターで気分もスッキリします。
⑥10分に1回、1~2秒だけ遠くを見る
「スマホやパソコンを見続けて収縮してしまった毛様体筋をゆるめる時間を一瞬でもつくるのが大事」と梶田さん。ただし、いくら遠くてもピントが合わなければ意味がありません。数mでもいいから、ピントが合う距離に目を向けるようにします。
⑦目を上下左右に動かす
遠くを見たり近くを見てピントをずらしていくのがアイケアの基本ですが、指を使って目を動かす方法もあります。「自分の指を立てて上下左右に動かし、それを両目で追いかけるのです」と梶田さん。この眼球運動によって、ピントを合わす力や集中力が高まります。
老眼を治すことはできない 頼りになるのは眼鏡
「勘違いしてはいけないのは、どんなケアをしても、老眼が治るわけではないということです」と梶田さんは話す。レンズの役割をしている水晶体は胎児の段階で完成し、以降は新陳代謝が起こりません。つまり、私たちの目は生まれると同時に老化が始まるのです。アイケアの目的は、老眼の進行を遅くしたり、目の不調によって起こる体調不良を防ぐためです。
「一番の老眼対策はやはり、遠近両用眼鏡だと思います。私が使い始めたの
は35歳の時から。今、68歳ですから33年間、使い続けていることになります。その間、とても快適なQOLを得ることができている。自分自身で実証できているからこそ、みなさんにも遠近両用眼鏡を勧めるのです」
目薬の選び方
市販薬と医療用どっちがいいの?
病院で処方される目薬は症状にピンポイントで効くのに対し、市販薬は安全性を考慮し効きは弱い。疲れ目なら市販薬でも構わないという梶田さんですが、「涙が機能しなくなるので、差す回数は増やしすぎないように」とアドバイス。
梶田雅義さん(梶田眼科 院長)
福島県立医科大学卒業後、同大学講師、カリフォルニア大学バークレー校 研究員などを経て2003年から現職。 名医・専門医の調査を実施する米国ベストドクターズ社主催の Best Doctors in Japan 2012‒2013、2014‒2015、2016‒2017、2018‒2019、2020‒2021に選出。
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