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小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹(がんぽこふく)」 巻狩べんとう/新富士駅


雑誌『一個人』編集部です。
『一個人』春号「口福の家ごはん」では、「お取り寄せで愉しむ 県民の味」と題しておうち時間を観光に変える、郷土の味を紹介しています。
そのなかの「駅弁編」にも登場していただいた”駅弁の女王”小林しのぶさんに毎回選りすぐりの「1駅弁」を紹介していただきます。
今回のお弁当は静岡県です。写真をみると素朴な感じがするお弁当ですね。いったいどんな特色があるのでしょうか・・・。

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昭和時代からのロングヒット駅弁で、新富士駅を代表する駅弁のひとつ。わっぱ型の容器の中はご飯とおかずに二分されており、おかず部分にはサケの照り焼き、笹がき信田(しのだ)巻き、牛肉のイノシシもどき生姜煮、鶏の雉(きじ)焼き、タケノコの古武士煮、コンニャク煎り煮、フキの青煮、シメジの旨煮など野趣たっぷりな料理が詰められています。

巻狩べんとう中身


地元の富士山周辺で採れる素材を生かし、まさに巻狩りという弁当のテーマを見事に表現しています。

うまい! と思ったのは肉厚の焼きサケ。皮もしっかり焼いてあり、残すなんてもったいない。鶏の雉焼きは、やわらかい肉質の中に味がしっかりしみ込んでおり、シソを混ぜ合わせたゆかりご飯との相性がよい。種類豊富な煮物類は野菜の歯ごたえを残し、添え物というにはもったいない。やさしい味わいに仕上がっており、気持ちをなごませてくれる。揚げ物が入っていないため健康志向にもマッチした内容といえます。

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弁当名になっている「巻狩り」は、鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝が富士の裾野を中心に開催した大規模な狩猟のこと。この故事にちなみ、富士宮市では「富士の巻狩りまつり」を毎年開催しています。

1200円/富陽軒(0545-61-2835)

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小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。

「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから
“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。 著書に「全国美味駅弁 決定版」
(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。

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