山海の珍味が一度に楽しめる 吾左衛門(ござえもん)弁当/米子駅 小林しのぶの【駅弁含哺鼓腹】
雑誌『一個人』編集部です。
毎回選りすぐりの「1駅弁」を”駅弁の女王”小林しのぶさんに紹介していただいています。
今回のお弁当は米子駅の「吾左衛門弁当」。なんで吾左衛門(ござえもん)というネーミングなんでしょうかね?
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米子駅に初めて降りたのは確か昭和60年(1985)。
国鉄が民営化されJR西日本米子駅となった年でした。それまでは羽田から空路ひとっ飛び、それほど距離も感じませんでしたが、東京から列車で向かう米子は遠い、遠い、日本は結構広いと思ったものでした。
あれから36年も経ったなんて、俄かに信じられない。時代も昭和から平成、令和と変わり、駅弁も消えてなくなったり進化したり。
米子の駅弁や駅弁売り場もずいぶん変わりました。
最近米子駅に降りたのは2019年の5月。まっすぐに駅弁売り場へ向かいました。
米子の名物駅弁「吾左衛門鮓」がすぐ目に入ります。
ですが、今日買うのは「吾左衛門弁当」。鮓(すし)ではなく弁当です。
名物の吾左衛門鮓をはじめ、大山おこわ、かに寿司など、調製元「米吾」の名物駅弁を一ヶ所に集中させたような、駅弁ファン垂涎の内容。
米子を拠点に隆盛した廻船問屋の主人、米屋吾左衛門の妻が、村祭りに繰り出す舟子(しゅうし)たちのために考案した弁当がモチーフになっています。
掛け紙は『まんが日本昔ばなし』風のイラスト。トレーは3分割されており、センターに置かれた名物吾左衛門鮓とおかずを「大山(だいせん)おこわ」と「かにちらし寿し」がはさんでいます。
かにちらし寿しは酢飯の上にカニのほぐし身などをのせていていかにも山陰らしいです。
大山おこわは、もち米を使ったおこわの上に栗の甘露煮などをのせたもの。
エビフライ、卵焼き、かまぼこ、漬物などおかずも種類豊富です。
私はたいへんなおこわ好きで、特にこの「大山おこわ」は好きなおこわ駅弁ベスト3に入ります。昔、僧兵が戦場に行く時に戦勝を祈願して山鳥と山草を入れた米飯を炊き出したのが始まりと言われる大山おこわ。
米子に行く機会があったら、じっくり味わってみてください。
吾左衛門弁当 1260円/米吾(0859ー26ー1511)
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