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長生きしたかったらセックス・パートナーを借りなさい-豊かな性生活で不老長寿を手に入れる術-

 南米・ボリビアの首都ラパス。そこに、不老不死の研究に生涯を捧げる日本人セックス・サイエンティストがいる。
 理学博士・関邦博、人呼んでドクター関その人である。潜水学から量子生物学まで専門分野は多岐に渡り、水中のノーベル賞といわれる「トライデント金賞」を東洋人として初めて受賞した世界的科学者である。

 性科学にも深い見識を持つドクター関は、豊かな性生活こそ健康、そして長寿の源であるとして、セックスレスの傾向が著しい現代日本人に対して警鐘を鳴らし続けている。既に世界でも有数の長寿を誇る日本人だが、ドクター関に言わせればまだまだ伸びしろがあり、そのカギはセックスに他ならないというのだ。
 果たしてその根拠や如何に? 現代を生きる日本人のための「セックスによる不老長寿」特別授業、ここに開帳!

欧米人のがん罹患率が低いのは豊かな性生活のおかげ

 日本人は世界で最もセックスレスな国民であると言われます。
 世界的なコンドームメーカー・デュレックス社が行なった調査によれば、日本人の男女は年間平均で40数回しか性行為を行なわず、これは欧米人の3分の1に過ぎません。
 人間がセックスをするのは、性的快感を体験できるからです。セックスをしないと子供を作れず、子供が作れない生物は全て絶滅しています。つまり、日本人のセックスレス傾向は、生物の本能に反するものと言えるでしょう。

 セックスをして性的快感が伴うと、新陳代謝が向上するだけでなく免疫機能が高まり、健康体になります。20歳以上の男女は、世界平均で週3回、つまり年間140回以上オーガズムを体験することで、健康で病気に罹患しにくい身体になるとして、WHOは性による健康=セクシャル・ヘルスを推奨しています。
 このWHOの国際標準を満たす欧米人は、がんに罹患する比率が日本人の3分の1にすぎません。

セックスレスに「レンタル・パートナー」という考え方

 最も権威のある研究機関であるWHOと世界性科学協会は、人間が健康を維持し長生きするための方策として、次のような提言をしています。
 第一番目がセクシャル・ヘルス、つまり豊かな性生活による健康。そして第二番目にフード・ヘルス、食事による健康です。また、第三番目にはスポーツ・ヘルスを挙げています。
 要するに、豊かなセックスライフこそ、食生活やスポーツと同様に重要であるということです。

 世の中に健康法は数多くありますが、ほとんどは食事療法やエクササイズなどによるもので、セックスに注目したものは極めて少ないのが現状です。
 私はこのような現状を憂い、ぜひ多くの日本人にWHOが推奨するセクシャル・ヘルスの概念を知って欲しいと願っています。
 もちろん、ただ知っているだけでは意味がなく、実践こそが重要です。では、我々日本人がセックスレス傾向を打破するためにはどうすればよいのでしょうか。

 私はここで、ひとつの解決法を提案したいと思います。それは「レンタル配偶者」という考え方です。「レンタル・ワイフ」「レンタル・ハズバンド」「レンタル・パートナー」と言い換えてもよいでしょう。
 未婚、既婚を問わず、男女ともにセックスの機会を増やすためには、時に応じて性交のパートナー、より直接的に言えばセックスの相手をレンタルすればよいのです。
 結婚が生涯続く「契約」だとすれば、一時的なセックスパートナーとの関係は「レンタル契約」のようなものです。お互いの自由意志の元、必要な時だけセックスの相手を務める男女関係が認められるようになれば、日本人はより豊かな性生活を送れることができると私は考えます。
 妻や夫といった生涯の伴侶以外とセックスをしないという考え方が、倫理上正しいこととされています。しかしながら、この固定観念こそが日本人のセックスレス傾向に拍車をかけているのです。

誰もがセックスの喜びと快感を享受できる社会に

 性による健康、つまりセクシャル・ヘルスは、2002年にWHOによって次のように定義されています。
「差別や暴力を受けず、また性に対して偏見を持たない、楽しく安全な性的経験。またそれにより生じる身体的,感情的、精神的、社会的に健康で幸せで、満足のいく状態
 全ての日本人はあらゆる手段を講じて、このような豊かな性生活を実践しなければならないのです。
 そうすることで、新陳代謝や免疫力の活性化はもちろん、欲求不満から生じるストレスにより家庭内や組織内での問題を起こしたり、病気になったり、自殺をしてしまう人も減るでしょう。
 欲求不満は、社会生活のストレスから引き起こされます。豊かな性生活を送ることにより、心が満たされ至福の日々が蘇るのです。

 現代社会では、人間関係、家族関係、年齢など関係なく性的快感を得られるようになってきました。封建社会から比べれば、その制約や束縛はほとんどないといっても過言ではありません。
 戦前においては、女性の不倫は「姦通罪」として懲役刑に罰せられるものでした。戦後、憲法で男女平等が定められ、姦通罪はそれに反するものとして現在は廃止されています。今日、不倫は道義的、倫理的に認められた行為ではないものの、少なくとも刑事罰に問われることはなくなりました。
 婚前交渉についても同様で、結婚するまでセックスしてはいけない、などという人はかつてに比べて減りました。
 性的快感を得るには、いかなる制約も、拘束もありません。もちろん、年齢など問題ではありません。老いも若きも、男も女も、我々は何人も等しく、性的快感を得る権利、そして自由を持っているのです。

「一夫一妻制」はセックスレスの原因か!?

 人間社会は、子供を効率よく作る方法として、一夫一婦制を今から300年前に西欧で発明しました。一夫一婦制の誕生により、道徳、倫理、宗教、法律などを制定して現在にいたります。日本では、法律上一夫一婦制が確立したのは、1946年でした。一夫一婦制は結婚において、一人の男性と一人の女性による組合せのみを認める、社会、もしくは法律上の制度です。
 一夫一婦制を営む動物は、配偶関係にある雌を保護し、雌の繁殖活動を助けることによって、自らの遺伝子を持つ子孫をより多く残す繁殖戦略をとっています。つまり、より多くの雌と配偶関係を持つことではなく、特定の雌との間に生まれた子孫をより確実に成長させようとしているわけです。
 ヒトの社会は基本的に一夫一婦制的な繁殖システムを持つ傾向にありますが、歴史的にみると一夫多妻制が普通であった時代や地域も多く、一妻多夫制の社会すらも知られています。

 日本における一夫多妻制の社会を物語る文献記述として『魏志倭人伝』には「大人皆四五婦下戸或二三婦」とあり、このことから、日本では3世紀頃から一夫多妻制の社会が確認できます。
 日本では、江戸期までは上流社会において男子の跡取を生むという名目の元で側室制度がありました。『室』というのは妻女を指し、正室は1人、側室は複数人で、跡取となる息子は彼女らの内の誰かが生母となります。
 一方、町人の暮らしにおいては、妻のシェアリングー、一妻多夫制のような形態がみられたという説もあります。江戸時代の江戸では人口比で圧倒的に男性が多く、結婚出来る者が限られていたことから、長屋の住人はひとりの女性が長屋の他の男性とも関係しており、それによって町内の連帯が保たれていたというのです。
 明治維新後、近代的な民法の施行により一夫多妻制は制度的になくなり、全体としてみれば一夫一妻制は我々の社会生活に根付いていると考えられます。実はそれこそが、セクシャル・ヘルスの最大の障害となっているのです。

夫婦のセックスレスは生物学的な理由があった

 どうして、一夫一婦制の元では、3日に1回の性行為が出来なくなるのでしょうか。それは、男女にクーリッジ効果があるからです。クーリッジ効果(Coolidge effect)とは、新しい女性(男性)を目の前にして性的に興奮して、複数の女性(男性)との関係する意欲をかきたてられる現象をいいます。アメリカ第30代大統領カルビン・クーリッジ夫妻が農家を訪問した時の逸話に由来するので心理学用語でクーリッジ効果という名がつけられました。
 最初に鶏小屋を訪れた夫人は、飼育係に質問しました。
「この雄鶏は1日に何回くらい雌鶏に交合するんですか?」
 飼育係は「何十回もです」と答えました。すると夫人は喜んで「その話を主人にもしてやってください」と言い残して出て行きました。
 その後、鶏小屋を訪れた大統領は、飼育係からその話を聞かされ「では、その雄鶏はいつも同じ相手と交合するんですか?」と質問しました。飼育係は「いいえ、毎回違う雌鶏です」と答えました。すると大統領はにっこり笑ってこう言いました。
「じゃあ、その話を女房に伝えてもらえないか?」

 クーリッジ効果は、哺乳動物全般に広く見られる現象です。人間でも、結婚後1年が経過すると男女の交合の頻度は最初の1ヶ月にくらべ約半分になり、その後も緩やかに低下していきます。
 長年連れ添った伴侶をセックスの対象として見られなくなるのは、愛情の欠如では決してなく、このような生物学的な理由によるものです。セックスレス傾向を打破するための根本的な解決法は、必要に応じて相手を変えることなのです。
 現在の社会通念上、既婚者にとって不特定多数とのセックス=不倫は不貞行為とみなされ、民法における離婚事由に相当します。しかしながら、互いの合意の元で行なわれたとすれば、話は別です。セックスレスの解消のために、夫は妻以外、妻は夫以外にセックス・パートナーを求めることを相互に認め合う。このような寛容さを日本人は持つべきです。

「不倫は文化」はあながち間違いではない!?

 生物学的に見た場合、不倫という行動が存在するのはヒトだけです。不倫とは、道徳に外れることに他なりませんが、人間以外の生物がSEXのパートナーを選ぶことに後ろめたさを感じるでしょうか? また同様に、文明の未発達な社会において不倫は存在しません。未成熟の社会では、道徳や倫理、そして何よりも自由が存在しないからです。選択の自由が制限された社会での不倫は、死をもって償わなければならない罰でした。しかし、こういった道徳観は、その時代、時代で変化していくものです。
 アメリカの心理学者リンキストの調査によれば、既婚男性の70%、既婚女性の50%、独身者の60%が、一度以上の不倫を経験しているといいます。GNPが1万ドルを超える先進諸国において不倫経験者が50%を超えるということは、不倫は社会に認知され、文化や文明の発達に貢献しているとの見方も可能なのです。

これからはセックス・パートナーもシェアする時代に

 不倫を法律で厳しく禁止した時代でも不倫は、社会の裏面で密かに存在しました。人間は、それでも不倫をやめようとしませんでした。大きな理由は、不倫には多くのメリットがあったからです。例えば、歓喜と絶望があり、燃えるような興奮と刺激がありました。
 上手く行かない結婚生活、思うように相手と理解しえないような現実、忙しい単調な日常生活で疲れた自分に危機感を抱いた時に、誰か自分を認めてくれる相手と深い関係を持ちたいという願望を抱くのは、自然なことです。そのような願望が実行に移されたときに人は不倫と言います。人は、不倫によって癒されるのです。これは、人間だけにある文化的本能かもしれません。
 以上のように、一夫一婦制のもとでは、充実した性生活は望めません。WHOが推奨するセクシャル・ヘルスを継続的に維持する為には、不特定多数の異性との性行為をしなければならない生理学的な根拠があります。
 エコなどの言葉に象徴される循環型社会が目下の時流ですが、家や車だけでなく、セックスパートナーも必要なだけ借りる時代がもうすぐやってくるかもしれません。特定の相手に依存しすぎない、レンタル・ワイフ、レンタル・ハズバンドという発想は、日本人が欧米並みの豊かなセックスライフを享受するための契機となるはずです。
 健康で幸福な人生を送るために、我々は今、性意識の革新を遂げねばならないのです。


<執筆者プロフィール>
■もがき三太郎
出版業界で雑誌編集者として働いていたが、やがて趣味と実益を兼ねた海外風俗遊びがライフワークとなる。現在は中国を拠点に、アジア諸国と日本を行き来しながら様々なメディアに社会問題からドラッグ事情まで、硬軟織り交ぜたリアルなルポを寄稿している。


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