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小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹(がんぽこふく)」 富山湾/富山駅

雑誌『一個人』編集部です。
『一個人』春号「口福の家ごはん」では、「お取り寄せで愉しむ 県民の味」と題しておうち時間を観光に変える、郷土の味を紹介しています。
そのなかの「駅弁編」にも登場していただいた”駅弁の女王”小林しのぶさんに毎回選りすぐりの「1駅弁」を紹介していただきます。

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富山湾


 踊る波にブリやイカやエビが飛び跳ねる……、まさに海の幸の宝庫富山湾を表現した掛け紙。手に取るだけで心がウキウキしてくる。
 容器の外側は井桁型。中に縦3列、横3列の仕切りをいれ、9種類のおかずとご飯が盛り込まれている。ブリ大根、白エビのかき揚げ、ご存知ますのすしをはじめ、幻魚(ゲンゲ)、ホタルイカ、バイ貝、カニチラシなど富山名物が大集合。一品ずつ皿に盛りつけたら、立派な会席料理ができあがるほどだ。

富山湾中


 調製元の「源」の前身は明治33年創業の高級料亭旅館「富山ホテル」。その前もまた「天人楼・日新楼」という料亭だった。駅弁は当時からの伝統の味を受け継ぎ、市井の弁当とは一線を画す。
「ますのすし」が全国区の源だが、丁寧な料理弁当が食べられるのも富山駅の駅弁ならでは。酒の肴としても十分に楽しめる。この「富山湾」、近々リニューアルされ、またまたスゴイ駅弁になりそうなので、どうぞお楽しみに。

富山駅


 ちなみに源本社には「ますのすしミュージアム」があり、ますのすしの工場見学や手作り体験などもできる。富山に行かれるときはぜひ旅程の中に入れてほしい。

1100円/源(076-429-3100 )

小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。
「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから
“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。 著書に「全国美味駅弁 決定版」
(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。


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