美しい舟屋の街から誕生した「丹後 伊根の舟屋寿し」/神戸駅ほか(小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹」)
2種類の鯖と海鮮ちらし寿司に舌鼓
丹後半島の伊根町は、美しい海岸線に舟屋が立ち並ぶことで有名。
伊根湾を囲むように、約230軒の舟屋が取り囲み、その類を見ない風景は平成17年7月に国の重要伝統的建造物群として選定された。以前、舟屋の民宿に泊まったことがあるが、夜空に浮かぶ月と明るい海を眺めながら飲む酒はなんとも言えない風情があった。
伊根町に鉄道は通っていないが、なんと伊根の駅弁がこの9月に完成した。
調製元は神戸市の淡路屋。コロナ禍で鉄道利用者が激減し、なにか解決策を見出そうと考え、「駅弁食べて地方へGO」というアイデアが浮かんだという。現地で名物駅弁を食べるのと反対の発想、都心で地方の駅弁を食べて、その土地を旅した気分を味わおう、というものだ。
その第1弾が「丹後 伊根の舟屋寿し」。外箱から舟を引き出すように引っ張ると駅弁が登場する。伊根町産米を使った酢飯を敷き詰め、しめ鯖、炙りしめ鯖、イクラ、エビなどを盛り付けたちらしずしで、伊根町の観光リーフレット付き。
鯖のうまみをじっくり味わえる駅弁。一度食べて欲しい豊かな味だ。
淡路屋の売店ほか、旅弁当(京都駅、新大阪駅、新神戸駅)でも販売。オンラインストアからも買えるので、自宅でゆっくり味わえる。
伊根の舟屋へ思いを馳せて「いただきます!」。
丹後 伊根の舟屋寿し 1100円/淡路屋 078-431-1682
https://www.awajiya.co.jp/
小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。
「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることら“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。 新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。著書に「全国美味駅弁 決定版」(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。
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