越後のコメと老舗の料理が絶品な駅弁 越後長岡喜作辮當/長岡駅(小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹」)
雑誌『一個人』編集部です。
毎回選りすぐりの「1駅弁」を”駅弁の女王”小林しのぶさんに
紹介していただいています。
今回のお弁当は長岡市の「越後長岡喜作辮當」です。
素朴な見た目で、昔ながらのお弁当といった感じが、
旅行気分をもりあげそうです!
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歴史に裏付けされた美味
掛け紙に描かれているのは明治時代の調製元の様子。
鮮魚、御寿し、でんぶなどの文字が見え、当時は仕出しや食堂を営んでいたことがわかる。掛け紙から駅弁の歴史を紐解くのは楽しい。
竹の皮を模した容器のふたを開けると仕切りのない空間にご飯、レンコンのきんぴら、椎茸煮、油揚げとぜんまい煮、塩鮭、神楽南蛮鶏団子、卵焼き、ナスとショウガの味噌漬け、そしてデザートの笹団子が詰められている。ご飯は地元長岡のコシヒカリ、梅干が置かれ黒ごまが振られている。
中身も決して派手な彩色や演出はなし。だからこそよけいに手作りの良さ、素材の確かさを実感できる。
越後のコメのうまさは全国に知られるところだが、神楽南蛮には唸ってしまった。長岡市内で栽培される南蛮(とうがらし)は大きくてさっぱりした辛味が特徴。長岡野菜にも指定されている。これを練りこんだ鶏団子がピリリとして実にうまいのだ。ほかに長岡市内で昭和初期から続いている「吉田屋とうふ店」の油揚げも味わい深い。丁寧な駅弁だ。
越後長岡喜作辮當 1150円
池田屋 0258-33-2430
小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。
「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることら“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。 新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。著書に「全国美味駅弁 決定版」(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。
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