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ディズニーシーに仕掛けられた魔法

子供はもちろん大人が夢中になれる夢の国・ディズニーシー。世界初、「海」をテーマにしたディズニーパークとして誕生し、今年9月には18周年を迎えます。ディズニーシー・マニアのみっこさんが、十数年間にパークに通って集めた、細かな雑学や効率的な楽しみ方、意外に知られていないテクニックやトリビアが詰め込まれた本『701回通ってわかった ディズニーシーで史上最高の1日を過ごす方法』を、今日から特別掲載(無料公開)していきます。「ワンランク上のディズニーシー」の楽しみ方を発見してください!
※本書の内容は2016年4月15日現在の情報をもとに構成しています。また、この内容は筆者独自の取材や見解に基づくものであり、公式のものではありませんのでご了承ください。
【隔日18:00に更新】

パークには、何度も訪れたくなるさまざまな魔法が、ゲストに気づかれないように仕掛けられています。常に進化し続けるディズニーシーの、奥深いこだわりを読み解きます。

ディズニーシーは「屋外の美術館」である

 一般的なテーマパークは、いわゆる「遊園地」やその進化系。休日に家族や恋人、仲間と過ごす場所、というイメージがあります。
   ディズニーシーがそれらと決定的に違うのは、建物や街並みが歴史や史実に基づいて、細かなところまで正確に描写されていること。美しい街並みはそれだけでも「美術品」と言える価値があり、当時の時代考証などが取り込まれているパーク全体は「屋外の美術館」と言ってもいいでしょう。

 ロストリバーデルタにある「インディ・ジョーンズ®・アドベンチャー」の外壁には、よく見ると顔の形をした部分があります。これは雨の神様「チャーク」で、同エリアのモデルになっている、中央アメリカのユカタン半島の遺跡に実際に見られるものです。

 また、前にもご紹介したように、パーク内の小物は実際に使用されていたものが置かれていることがあります。例えば、レストラン「ニューヨーク・デリ」にある古びたミシンの型番を調べると、20世紀初頭のアメリカで実際に使用されていた本物だとわかります。
 もちろん、ランドにもゲストを楽しませるこだわりがありますが、「夢や空想の世界」であり、言ってみれば「何でもあり」の自由な世界。

 それに対して、事実の裏づけがされているのがシーであり、だからこそ「美術館」であると言えるのです。「大人向け」というコンセプトで誕生したパーク。単なる景観の美しさだけでなく、背景まで楽しめるようつくり込まれているのです。

パークエントランスにかけられた徐々に高揚感を高めていく魔法

 私たちがパークを訪れて一番はじめに通過する場所、すなわちパークエントランスをくぐると、巨大な地球儀「アクアスフィア」が迎えてくれます。「冒険とイマジネーションの海へ」と旅立つ私たちに、高揚感を与えてくれますが、ここに「さらなる配慮」が隠されています。
 ランドにも共通することですが、入園ゲートを通過しても、「プロメテウス火山」や「シンデレラ城」はすぐには見えません。これは、パークのシンボルを少しずつ見せることで、ゲストの高揚感を徐々に高めていくためなのです。

 また、ランドは全体的に地面が「平面」になっているためワールドバザールの途中からシンデレラ城が見えます。
 一方、シーの場合は地球儀「アクアスフィア」からパーク入口に向かって「ゆるやかな下り坂」になっていることにお気づきでしょうか。これにより、「アクアスフィア」の位置から海やプロメテウス火山が見えないようになっているのです。
 パーク内へ進んでいくと、最初に海が見え、フォートレス(要塞)、噴煙立ち込めるプロメテウス火山……という順で視界に入り風景が変化していきます。
 プロメテウス火山はシンデレラ城と同じ、高さ51メートルなのですが、エントランスの地面に高低差をつけることで、「雄大な自然」の象徴を、より効果的かつ効率的に魅せる演出がなされているのです。

「面」ではなく「線」で結ばれたテーマポート

 ディズニーランドは、シンデレラ城を中心に各テーマランド同士が隣接し、「面」で接している世界であると言えます。
 ランドの「クリッターカントリー」の入口のあたりがわかりやすいのですが、「スプラッシュ・マウンテン」方向に向かう「クリッターカントリー」、「ウエスタンランド」、「ファンタジーランド」の3エリアが隣接しています。そのため一歩動くだけで、すぐに隣のエリアに移ります。

 対してディズニーシーの場合、隣のテーマポートに行く時は、必ずと言えるほど、「橋」や「道」を通ります。これは各テーマポートが「線(道や橋)」で結ばれている、ということであり、ここでテーマポートが移り変わるドラマが演出されています。
 例えば、メディテレーニアンハーバーからミステリアスアイランドへ、石造りの大きな橋「アクアダクトブリッジ」を渡って進む時。
 橋の片側が壁になっており、激しく壊れている箇所があります。これは、プロメテウス火山の噴火によって飛んできた噴石によって壊されたことが表現されているのです。南ヨーロッパの美しい港町から、自然の驚異を徐々に感じながら、ミステリアスアイランドに入っていく……というシーンの移り変わりがあるのです。

 また、メディテレーニアンハーバーの南側にある「ポンテ・ヴェッキオ」という大きな橋を通り、ポートディスカバリーに向かう時。ここでは、ヨーロッパの港町の穏やかで落ち着いた風景から、周りを植栽に囲まれたどこにも属さない「フラットな空間」を通過し、「未来の港」であるポートディスカバリーに向かうという移り変わりがされます。

 ディズニーシーでは、次のエリアに移動する時に通る「道」や「橋」は、その空間の「雰囲気やイメージ、音楽を違和感なく、徐々にリセットする役割」があるのです。
 そのおかげでゲストは、まるで映画の物語が進んでいくように、各テーマポートの世界に入り込めるのです。

ゲストの視線までが計算されている

 風景やショーの「魅せ方」にもこだわりがあります。例えば、夜のハーバーショー「ファンタズミック!」。ミッキーなどが乗る、中央のバージ(船)は、実はどのエリアから移動してきても、「ハーバーの真ん中」に見えるようになっているのです。
 例えば、入園してミラコスタ下の通りを抜けると、「ほぼ真正面」に確認できます(厳密に言うと、若干南側寄りで、プロメテウス火山との背景の調和を考えているためだと思われます)。

 また、アメリカンウォーターフロントのエリア入口にある通り「ブロードウェイ」からハーバーに向かって進んできた場合も、バージ(船)が「ちょうど真正面」に見えます。
 さらに、この対岸にある、「ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ」脇の坂道からハーバーに向かって下りてきた場合も、ほぼ正面に見え、ミステリアスアイランドからハーバーに来た場合も同様です。
 これらは決して偶然ではありません。ハーバーに通じる通路の正面にメインバージを置くことで、「遠くにいるゲストにも、ハーバーショーが開催されていることを広く知らしめる」意味があるものなのでしょう。

360度どこから見ても美しくつくられている

 あえて「閉鎖的」な世界観がつくられているランドでは、ゲストは建物の2階程度の高さまでしか行くことができません
 高さ19メートルの「スイスファミリー・ツリーハウス」の上や「スプラッシュ・マウンテンの落下時の一瞬」などは、パークの風景がある程度見られますが、ショーやパレードは見えないように、「樹木などで意図的に景観を遮(さえぎ)っている」のです。

 対してシーの場合、ミラコスタからはもちろん、火山の前の要塞「フォートレス・エクスプロレーション」から、「センター・オブ・ジ・アース」で火山から噴き出された一瞬など、ハーバーのほぼ全景が上部から見渡せます
 また、「タワー・オブ・テラー」の途中で開く窓から、さらには「レイジングスピリッツ」のレールの上からもパークが見渡せます。高い所から見えるゆえに、その景観はどの方向からでも美しく見せる必要があり、ランドに比べ、想像以上にシーの建物には細かな配慮がされています。

 ランドは、ゲストから見えない屋根の上などにはエアコンの室外機があったり、防水加工がされた無機質な屋根がありますが、シーの場合、こうした管理用施設を見せない配慮が徹底されています
 例えば「レストラン櫻(さくら)」やショップ「スチームボート・ミッキーズ」がある建物群を見てみると、整然といくつもの建物が並んでいるようにつくられています。実際はこの中にレストランの厨房施設やショップの管理施設なども入っていますが、ゲストには、それらをまったく感じさせませんよね。

 この建物は、歩行者や、河の対岸、上を走る「エレクトリックレールウェイ」のゲストからなど、前後左右、360度どの方向からも見られます。
 ランドでは見せたくない部分を「裏側に隠す」手法が多いです。一方、シーにおいては、建物や造形物の中に「立体的に隠し、360度、どの方向から見ても隠していることを感じさせないテクニック」がさまざまな場所で活かされているのです。




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