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タコの街の絵かき歌弁当『三浜たこめし』/大洗駅(小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹」)

鹿島灘でとれた絶品タコ!

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 三浜は〝さんぴん〟と読む。大洗、湊(現:那珂湊)、平磯の三つの浜を総称した名前で、三浜はタコの加工高が日本一なのだ。広島県の三原市もタコの町だが、こちらは三浜。鹿島灘に面した大洗町が誇るタコの生産地だ。

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 駅弁『三浜たこめし』の掛け紙には、真っ赤なタコ入道とその下になにやら歌が書かれている。

穴子が三匹で~てきて
あんまりお腹がすいたので 
朝飯昼飯晩飯のメシ
雨がざあざあ降って来て
あられがポチポチ降って来て
オットたまげた蛸入道

 これは三浜で昔から歌われていたタコの「絵描き歌」だそう。タコは子供たちにとっても身近だったのだろう。

 駅弁は、ご飯の上に錦糸卵、菜の花、そして厚めにスライスした煮タコがのる美しい盛り付け。ご飯はうるち米ともち米のブレンドで、ほのかな桜色をしているのは一緒に刻んだタコを炊き込んでいるため。

 タコはほどよい弾力性を残しながらもやわらかで食べやすく、菜の花はシャキっとした歯ごたえ。炊き込みご飯はタコの出汁がたっぷり染み込んで、刻みタコの食感がうまさを増幅させる。

 付け合せの煮物は、タケノコ、ニンジン、しいたけなど季節の野菜。ほっとする味だ。

 鹿島灘に面した大洗の町に、こんなにうまいタコの駅弁があることをもっと知ってほしい。雄大な太平洋を眺めてぜひ食べてみて。

絵かき歌弁当『三浜たこめし』 1000円/こうじや 029-267-5104
http://www.o-bento.co.jp/
小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。

「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることら“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。 新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。著書に「全国美味駅弁 決定版」(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。

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