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毎日の食事で心と体を健康にする  「老化防止」「心を整える」食材とは?

雑誌『一個人』編集部です。
毎日の食事、皆さんどうしてますか?
毎日の食事で身体の不調が解消できたらうれしいですね。
健康は日々の食事から。
“身体のお悩み別”「食物の特性」に着目した、
東京薬膳研究所代表の武 鈴子さんオススメ食材をご紹介します。

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毎日の食事に気を配ることによって、医者いらずの健康な生活ができる…。
これは決して夢物語ではない。すべての食物にはそれぞれ固有の働きがあり、体に及ぼす影響も異なる。その仕組みをきちんと理解すれば、老化防止はもちろん、様々な症状の対処法も明らかになる。

いつまでも若さを保つための秘訣
見た目の老化を防ぎたい!

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■斑点が目立つ!「シミ・ソバカス・くすみ」対策

この食材がおすすめ!
●レモン
体液を補い、肌を潤す効果がある。果汁には漂白作用、クエン酸には古い角質を除去して色素成分を目立たなくする作用があり、肌に塗ってもいい。紫外線の感受性を高める成分が含まれるため、使用は夕方以降に。

●パセリ
若返りビタミンといわれるビタミンE、抗酸化作用の高いβ-カロテンやビタミンCなど、美肌&老化防止成分が豊富。血行を促進して瘀血を取り除く作用が高いため、シミやシワなどの色素沈着を防ぐ効果がある。

●白キクラゲ
古くから美肌、美白効果の高い「貴婦人の美容食」と珍重され、体液を補って全身を潤す作用に優れている。生殖能力や生命力を司る腎臓の働きを補うため、アンチエイジング効果も高く、不老長寿の妙薬ともいわれる。

血行を促進して体内の瘀血を取り除く
シミやソバカスなどの色素沈着は、体内にドロドロとした古い血液が滞る瘀血(おけつ)が主な原因。その対策としては、血行を促進するセロリ、タマネギ、レモン、チンゲン菜、菜の花、ニラ、パセリ、レンコン、イワシ、サバなどの食材を摂って、瘀血を取り除くことが大切。美白効果が高いはと麦や色素沈着を抑える柿の葉もおすすめだ。

「ハチミツ、ゴマ、山イモ、白キクラゲも肌を滋養する甘味の食材です。美白効果のあるビタミンCが豊富な食材と組み合わせると効果的です」


出来物ができた! 「イボ」対策

この食材がおすすめ!
●はと麦

全身の水分代謝を促進する働きがあり、イボやポリーブ、腫瘍などの異物を排出する作用がある。新しい細胞を生成するのに必要な栄養素を含み、新陳代謝を活性化。イボやシミを取って美肌にする効果に優れている。

●ナス
利尿作用があり、イボの原因である水滞を改善する。ヘタには殺菌効果があるプロテアーゼインヒビターという成分が含まれ、イボや歯槽膿漏に有効。小さなイボなら、ヘタの切り口をイボに当ててこすってもいい。

水分代謝が良くなればいつの間にか消える
イボの多くは、余分な水分が滞った水滞(すいたい)が原因。高齢者の顔や首にイボが見られるのは、老化による腎機能の低下によって、水分代謝が悪くなり、余分な水分が排出されずに、皮膚表面に現われるためだ。

「対策としては、ナスやはと麦など、利尿を司る腎機能を高めて水分代謝を促進する食材を摂ることが大切です。
特に、はと麦は新たな細胞を作る働きを促進するので、シミやニキビの改善だけでなく、女性の場合なら、美白効果も期待していいと思います」


■髪の毛が危ない! 「白髪・抜け毛」対策

この食材がおすすめ!
●モロヘイヤ
髪を黒々とさせるメラニン色素の合成に不可欠な銅や、髪を美しくするパントテン酸、毛髪を作る亜鉛を豊富に含む。中枢神経を鎮めるので、ストレス性の脱毛にも効果的。エジプトでは五千年前から常食されている。

●ブロッコリー
低下した腎臓の働きを補って強壮する働きに優れており、五臓を補い、滋養強壮、虚弱体質の改善に効果がある。体のサビを取る抗酸化物質が数多く含まれ、髪だけではなく、全身の老化防止に効果がある。

黒ゴマ
白髪や脱毛に役立つとされる代表的な食材。精力を司る腎臓と、血の貯蔵器官である肝臓の働きを補って、五臓の衰えを改善してくれる。血を補う働きもあるため、髪だけでなく、老化防止や美肌作りにも効果が高い。

腎機能を強化する昆布を毎日継続して食べる
髪が黒々として艶やかなのは、腎臓が活発に働いている証拠。反対に加齢による抜け毛や白髪は、腎機能の衰えが原因と考えられる。

抜け毛や白髪を防ぐには、腎機能を強化する鹹味や色の黒い食材である黒ゴマや昆布、ブロッコリー、モロヘイヤなどを毎日食べると効果がある。

「強いストレスや神経の使いすぎも白髪や抜け毛の原因です。血流を良くし、血を補う食材やストレスの発散に役立つシソやタマネギ、柑橘類を積極的に食べるといいでしょう」「強いストレスや神経の使いすぎも白髪や抜け毛の原因です。血流を良し、血を補う食材やストレスの発散に役立つシソやタマネギ、柑橘類を積極的に食べるといいでしょう」


毎日を快適に過ごすために…
目、口、耳の症状を解消したい!

あさり

■聞こえにくい! 「耳鳴り」対策

この食材がおすすめ!
●ワカメ

利尿作用に優れ、腎機能を高めて水分代謝を促す。熱を冷ます清熱作用もあるため、熱の上昇によって生じる耳鳴りにも有効。体を冷やすので、ショウガやタマネギなど、体を温める食材と組み合わせて食べること。

●黒豆
煮汁を空腹時に飲み続けると、耳鳴り、めまいに有効とされる。腎機能を高め、水分代謝を促す利尿作用に優れている。血流を促進する効果もあるので、耳の器官に十分な栄養を送ることで、耳鳴りの改善に役立つ。

●クルミ
古くから老化防止や美肌の薬として利用されてきた。腎機能を強化する働きが強く、腎臓の衰えが原因とされる腰痛、インポテンツ、精力減退、足腰の衰えなどにも有効。毎日2~3個くらい食べ続けると効果的。

腎臓の働きを補う色の黒い食材が有効
耳鳴りやめまいは、体内の余分な水分が滞って生じる水滞が原因の一つ。

対策としては、水分代謝を司る腎臓の働きを食事から補うこと。黒ゴマ、黒豆、黒米、海苔、クルミなど、色の黒い食材を摂るといい。黒ゴマは、眼や耳の働きを良くし老化を防ぐのでおすすめ。黒豆には腎臓の働きを活性化
して余分な水分を排泄する効果がある。

「さらに、ワカメやキュウリなど利尿作用のある食材を合わせるといいでしょう。ワカメには清熱作用があるので、熱による耳鳴りにも効果的です」


■口が臭い! 「「口臭・口内炎」対策

この食材がおすすめ!
●ナス

熱を冷まし、痛みを止め、古い血液を取り除く作用がある。食べるだけでなく、アルミホイルで包んでオーブントースターなどで黒焼きにしてすりつぶしたものを、ハチミツと練り合わせて口内炎の患部に塗ってもよい。

●キャベツ
口内炎や胃腸の潰瘍などに有効。腫れものや出来物を散らす散結作用や、粘膜を修復する作用、過剰な熱を冷ます清熱作用もある。脾臓や胃の働きを活性化して、胃腸虚弱や胃もたれを解消する効果もある。

脾臓や胃の熱を取り除き粘膜の炎症を鎮める
口腔内が荒れたり腫(は)れたりするのは、脾臓(ひぞう)や胃の熱が原因。暴飲暴食や脂っぽいものの食べ過ぎなど、食生活の乱れによって胃が熱を持ち、その熱が上昇して口の中の粘膜に炎症を起こして、口内炎を生じさせる。

気温が高いと食べ物が腐りやすいように、胃が熱を持つと、口内炎だけでなく、嫌な臭いを放つ口臭の原因にもなる。

「そんなトラブルの解決には、胃の熱を取り除く作用のある食材や、粘膜の炎症を鎮める作用のある食材がおすすめ。大根やナス、キャベツ、ホウレン草などが胃の熱を取り除き、ゴボウやセロリ、ゴーヤーなどが粘膜の炎症を
鎮めてくれます。寒涼性の食材が中心になりますので、体を冷やし過ぎないように注意してください」


■目が疲れる! 「疲れ目・充血」対策

この食材がおすすめ!
●セロリ
熱を取り除き、炎症を抑え、腫れものを改善する働きがある。特に、肝臓の熱を冷ます作用に優れており、肝臓の高ぶりから生じた熱による目の疲れや充血に効果的。精神安定作用もあるので、ストレスも軽減する。

●アサリ

タウリンが豊富で、肝臓の解毒作用の働きを補う。ストレスを和らげ、精神を安定させて、肝機能を正常に保つ作用もある。体内の過剰な熱を取り除くので、肝臓の熱による目の充血や炎症も抑えてくれる。

●菊花
古くから目の働きを良くして疲れ目に効果があるとされる。目の疲れや貧血に有効なクサンテノンという芳香成分を含む。肝機能を正常化して、肝臓の高ぶりを鎮静する作用があるため、腫れや痛み、炎症に効果的。

目と肝臓は深い関係にあり
肝機能を補う貝類が有効
目は肝臓と関係が深く、肝臓の疲れが目の症状として現れやすい。そのため、目のトラブルには、肝機能を補う食材を中心に、熱を冷ます作用や炎症を抑える作用のある食材が有効。

肝臓の働きを補い、目にも良いとされる食材の筆頭が、シジミやアサリ、牡蠣などの貝類。ストレスを軽減して、目の疲労回復にも効果が期待できる。

レバーやウナギ、クルミは、肝臓の働きを補うと同時に、血の巡りを良くするので、疲れ目や充血、腫れの解消にいい。菊花やセロリには肝臓の高ぶりを鎮めて炎症を抑える効果がある。

「その他、目の粘膜を保護して、疲労回復効果があるビタミンAを含むゴマやモロヘイヤ、疲れ目を解消するビタミンB1やB2が豊富な豚肉や納豆、魚介類、眼病を予防するアントシアニンを多く含んだ黒豆やナスなどもおすすめ
です」


肩、腰、関節のトラブルをスッキリ!
体の痛みを解消したい!

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■肩が痛い! 「肩コリ」対策

この食材がおすすめ!
●そら豆

腎臓の働きを補い、水分代謝を高めて、余分な湿気を取り除いてくれるので、水滞が原因の頭痛や肩コリに有効。豊富に含まれるカリウムやマグネシウムが血圧を調整。高血圧で血管が圧迫されて痛む頭痛にもいい。

●サンマ
血液をサラサラにして血行を良くする効果が高いDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸やビタミンEが豊富なので、瘀血による肩コリや頭痛に有効。痛みの緩和に役立つ神経の鎮痛作用や炎症を鎮める作用もある。

●大根
熱を冷ます効果があり、肩コリや血管が拡張して神経を刺激することでズキズキとした痛みをもたらす偏頭痛の改善が期待できる。大根おろしにショウガのおろし汁、しょうゆ、番茶を加えた「大根湯」も効果的。

左右どちらの肩が痛むかで摂るべき食材が異なる
肩コリや頭痛は、血と水の滞りが主な原因と考えられる。

右の肩や頭が痛む人は水の巡りが悪いので、水分代謝を促す小豆、黒豆、そら豆、枝豆などの豆類をはじめ、海藻類や小麦、はと麦などが効果的。

逆に、左の肩や頭が痛む人は血の巡りが悪いので、血行を促進して瘀血を取るニラ、タマネギ、ショウガ、ニンニク、大根、サンマなどを意識して食べるといい。

「肩コリに冷えは大敵ですから、体を温める食材を摂るようにしましょう」


■腰が痛い!「腰痛」対策

この食材がおすすめ!
●オクラ

腎機能を高め、血液循環を良くして瘀血を取り除く効果があるため、腰痛の軽減に役立つ。ネバネバ成分であるムコ多糖類は、骨と骨の間の椎間板の構成成分の一つで、腰痛の予防や改善などに効果を発揮する。

●サバ
不飽和脂肪酸が豊富であり、血行を促して瘀血を取り除くことで、毛細血管での新陳代謝を促進して筋肉疲労を解消。血管を拡張して筋肉の緊張を取り、痛みを緩和する効果もある。不飽和脂肪酸が豊富であり、血行を促して瘀血を取り除くことで、毛細血管での新陳代謝を促進して筋肉疲労を解消。血管を拡張して筋肉の緊張をり、痛みを緩和する効果もある。●サバタウリンやコラーゲンも豊富。

●ニラ
体を温め、血の巡りを良くするので、冷えや瘀血による腰痛に効果的。筋肉や腱の動きを伸びやかにする特殊な薬効もあり、痛みで縮こまった腰部筋肉の柔軟性を高めてくれる。腎機能の働きを補う効果もある。

腎機能の低下を解消し血行を促進する食材が有効
腰痛は腎機能の低下によって起こると考えられており、腎機能を高める食材や、血行を促進して痛みの原因となる瘀血を取り除く食材が効果的。

余分な水分や冷えを取り除く食材や、利尿作用を高め、温め効果のある食材もおすすめ。

「腰痛を改善するには、腎機能を強化し、腰回りの筋肉の血行を改善して瘀血を取り除くことがポイントとなります。腎臓の働きを補う食材は、栗、クルミ、黒ゴマ、枝豆、カリフラワー、キャベツ、ゴボウ、ウナギ、海老など。血行を促進して瘀血を取り除くには、オクラ、タマネギ、菜の花、ニラ、パセリ、フキ、イワシ、サバなどを摂るといいでしょう」

■関節が痛い!「関節炎・関節リウマチ・神経痛」対策

この食材がおすすめ!
●ウド

風邪による手足の痛み、ふるえ、ひきつり、けいれんなどの症状を鎮める作用がある。痛みを止める作用や湿気を取り除く作用、体を温める作用もあるので、湿邪(しつじゃ)や寒邪による冷え、痛みを取り除く効果もある。

●さやいんげん

体内の湿気を取り除き、停滞している湿邪をスムーズに巡らせ、汗や尿として排泄する働きがあり、特に湿邪による痛みに有効。脾臓や胃の働きを活性化し、疲労や胃もたれ、食欲不振などを改善する効果もある。

●ショウガ

体を温めることで、冷えによる痛みやこわばりなどを改善する効果が高い。発汗を促進するので、体内に溜まった余分な湿気を発散して、湿邪による痛みにも有効。ただし、熱の症状のある場合は避けた方がいい。

症状の現れ方によって効果的な食物を選択する
「関節炎、関節リウマチ、神経痛の痛みはいずれも、風・寒・湿の三つの邪気(病気を引き起こす原因)のしわざだと考えられています」

痛みが鎮まったと思ったら、別の場所が痛み出す風邪の痛みは、発散作用のある葛(くず)やショウガ、ネギなどがおすすめ。冷えると痛みが強くなり、温めると楽になる風邪の痛みは、体を温めて寒気を追い出すニンニク、ニラ、カボチャ、ウドを摂るといい。

「雨の日や天気が悪くなると痛みが強くなるのは、余分な水分が侵入した湿邪が原因です。その余分な水分を排出するには、利尿作用の高い、小豆、はと麦、冬瓜、さやいんげん、ウドなどが効果を発揮してくれます」


日々のストレスの原因となる症状を撃退!
体の悩みを解消したい!

アスパラガス

■胃がムカムカする!「胃痛・胃炎(胃潰瘍)」対策

この食材がおすすめ!
●アスパラガス

胃に働きかけて胃熱を冷ます効果がある。体液を補って渇きを癒す作用もあり、熱による胃内の乾燥や口の渇き、便秘などにも有効。新陳代謝の促進や疲労回復に役立つアスパラギン酸を多く含んでいるのも特徴。

●白菜

体内の余分な熱を取り除く働きがあり、胃や胸の熱を取って、胸やけや胃のむかつき、もたれを取り除く効果がある。胃腸に働きかけて消化器系を活性化。体を潤す作用もあり、胃熱による乾燥や口の渇きにも有効。

●豆腐
大豆は寒・熱にどちらにも偏らない平性だが、豆腐にすることで、熱を冷ます清熱作用や体液を補って体を潤す作用が高まる。胃熱を冷まし、胃腸や口の渇きによる症状の改善に働く。豆乳にも同様の効果がある。

余分な熱を冷ます食材と体液を補う食材を摂る
「胃痛や胃炎は体内に滞った余分な熱が原因です。胃の働きを補うには、甘味の食材の中から胃熱を冷ます食材を選び、体液を補う食材と組み合わせるといいでしょう」

清熱作用がある食材は、小麦、キャベツ、キュウリ、小松菜、ナス、スイカ、バナナ、メロン、豆乳、豆腐など。体液を補う作用がある食材はアスパラガス、オクラ、冬瓜、イチジク、梨、桃、牛乳など。

これらの食材を、お好みで組み合わせてみてはいかがだろうか。


■体が冷える! 「冷え・低体温」対策

この食材がおすすめ!
●シソ

爽やかな香り成分が血の巡りを良くし、体を温めて冷えを取り除く働きがある。お腹の冷えや痛みを取る効果に優れており、特に胃腸を温める効果が高いため、脾臓や胃の働きを活性化する効果もある。

●ニンニク
胃を温める作用が強く、胃腸の働きを活性化する。風邪、食欲不振、下痢など、冷えによる様々な症状の改善にも効果がある。発熱や腫れ物、炎症などがある場合は、悪化することもあるので避けるのが賢明。

●ニンジン
冷えによる血行不良を改善する効果に優れる。特に、消化器系の働きが弱く、栄養を十分に吸収できないタイプの冷えに最適。体を温めて脾臓や胃の働きを活性化し、五臓全体に栄養を行き渡らせる効果もある。

温熱性のネギやシソを食べ夏野菜のサラダは控える
冷えの原因は血行不良と水分の停滞。人間の体は、血液が全身を巡ることで一定の体温が保たれるが、運動不足やストレス、高カロリーの食事、過食などにより、血液がドロドロになると、末梢の血管まで血液が行き渡らず、手
先や指先が冷えてしまう。

冷えの改善には、ニンジン、ネギ、ショウガ、シソ、ニンニクなど、体を温める温熱性の食材を意識して継続的に摂ることが大切。黒豆、小豆などの水分代謝を整える食材や、消化器官の働きを良くする食材を併せて摂ると、
さらに効果的だ。

「ナス、トマト、キュウリなどの夏野菜を使ったサラダなどは、体を冷やすので控えるようにしてください」


健やかな生活を送るために
不安定な心を整えたい!

サツマイモ

■眠れない! 「不眠」対策

この食材がおすすめ!
●タマネギ

独特のにおいの元である硫化アリルに眠気を誘う効果があるとされ、古くから不眠症の改善に用いられている。この硫化アリルはニンニクやネギにも含まれており、同じように安眠、催眠効果が期待できる。

●チンゲン菜
チンゲン菜には「疏肝(そ かん)」作用があり、感情の乱れを調節し、肝臓の過剰な熱を取り去って、その働きをととのえる効果がある。精神不安、イライラ感などを解消する効果もあり、それによって安眠効果が生まれる。

●牡蠣
漢方では精神安定薬として知られる。神経の興奮を鎮めて、不安感や不眠、動悸などの神経症、頭痛、めまいを改善する働きがある。腎臓に働きかけて精力を増強する作用もあり、眠りが浅い腎虚型の睡眠に効果的。

精神安定作用のある牡蠣を夕食に摂ってリラックス
「不眠で悩んでいる人は、牡蠣やアサリ、シジミなどの精神安定作用のある食材を夕食に摂りましょう。気分が落ち着いて、ストレスも軽減されます」

不眠は大きく二つのタイプに分けられるという。気の流れが悪くなり、寝つきが悪くなるタイプの『気滞(きたい)型』と、眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目覚めたりする『腎虚(じんきょ)型』。

気滞型不眠には、気の流れを良くするタマネギ、大根、春菊、シソなど。腎虚型不眠は腎機能を補う黒豆やクルミ、栗、山イモなどが有効だ。


■食欲がない! 「食欲不振・消化不良」対策

この食材がおすすめ!
●枝豆

脾臓や胃の働きを活性化して消化を促し、気力を補って胃腸虚弱や疲労を回復する効果がある。水分代謝を良くして体内に溜まった余分な水分を排泄する利尿作用もあり、胃内停水や夏バテ解消などにも有効。

●カボチャ

胃を温め、脾臓や胃の働きを補って消化吸収を促す働きがあり、冷えや胃腸虚弱、夏バテによる食欲減退にも役立つ。豊富に含まれるβ-カロテンが、胃粘膜を保護するので、胃潰瘍の改善にも効果が期待できる。

●トウモロコシ

胃腸を補い、胃の働きを助けて消化吸収能力を正常化する働きがある。気力を補う作用もあり、元気が出ない時などにも効果的。体内の余分な水分を排出する利尿作用にも優れているため、胃内停水の改善にも役立つ。

胃腸の働きを補うためにキャベツを積極的に摂る
「食欲不振や消化不良の元凶は、胃に溜まった余分な水分です。胃の中に水分が溜まると胃が冷やされて、本来の働きが損なわれてしまうのです」

弱った胃腸の働きを補うには、キャベツ、山イモ、鶏卵、豚肉などの甘味の食材を積極的に摂ることが大切。

「これに加えて、カボチャやニンジンなどの胃腸を温める食材や、胃の中に溜まった余分な水分の排出を促す枝豆やそら豆、トウモロコシといった食材を併せて摂るようにすれば、さらに効果は高まります」


■イライラする! 「精神疾患」(うつ・イライラ・不安感など)対策

この食材がおすすめ!
●ラッキョウ

血液をサラサラにするだけでなく、鬱々とした気分の解消にも効果を発揮する。「畑の薬」と呼ばれるほど効果は多彩。胃腸の働きを高めて消化を促進し、吐き気や胃の不快感、下
痢など胃腸のトラブル解消にも有効。

●サツマイモ
切った断面から分泌されるヤラピンという白い液体が腸の働きを活性化。胃腸を丈夫にして、精力を養う働き
がある。人間のエネルギー源となるでんぷんをはじめ、豊富な栄養素を含んでおり、疲労回復にも役立つ。

●ミカン
爽やかな匂い成分が気分をリフレッシュするだけでなく、胸の苦しさ、のどの詰まり感、膨満感、食欲不振な
ど、様々なトラブルの解消に効果がある。夏ミカンや橙、ネーブルなど、他の柑橘類にも同様の作用がある。

気持ちを落ち着かせるにはイモ類やキノコ類が効果的
気分がイライラする、やる気が出ない、不安感が拭えない……といった精神的な問題は、気の不足やうっ積が原因の一つ。ストレス社会の今日では、うつ病やパニック障害などの精神疾患も深刻な問題だ。

「気を補う食材としておすすめしたいのがサツマイモなどのイモ類や、キノコ類、木の実類です。気の巡りを良くする辛味の食材や柑橘類は、シソ、タ
マネギ、キンカン、ミカンなどがあげられます」

発作性の動悸や不安感、のぼせなどの症状は、下がるべき気が上にのぼってしまった状態。気を下げる働きのあるラッキョウ、大根、カブ、セリ、セロリなどと併せて摂るといい。


生涯現役を貫くための秘策
老化を食い止めたい!

トマト

■老け込みたくない!「老化防止・アンチエイジング」対策

この食材がおすすめ!
●トマト
赤い色に含まれるリコピンは抗酸化作用が高く、細胞の酸化や老化防止に効果を発揮。同じく抗酸化作用のあるカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ケルセチンも豊富。皮膚や粘膜を健康に保つ効果にも優れている。

●ブリ

血液を補い、血行を促進して全身に栄養を行き渡らせることで老化を防止。腎臓に働きかけて、気力をアップさせる作用もある。DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸も豊富。血液をサラサラにして新陳代謝を促す。

●納豆

美容ビタミンと呼ばれるビタミンB2を豊富に含み、皮膚、髪、爪の健康維持に効果。アンチエイジングに役立つポリアミンという成分や、細胞膜を作るレシチンも豊富なため、新しい細胞の形成にも貢献する。

ゴボウや黒キクラゲが老化の速度を遅らせる
「老化は止められませんが、遅らせることは可能です。腎機能の衰えによっ
て、腎臓に蓄えられている〝精〞が不足することで老化が起こると考えられます。そこで、腎機能を高めて、精を補う老化防止の代表的な食材であるクルミ、黒ゴマ、黒キクラゲ、山イモ、ゴボウ、ブリなどを食卓に取り入れて、老化のスピードを遅らせましょう」

さらには、体のサビを取る抗酸化物質リコピンを豊富に含むトマト、アンチエイジング効果があるとされるポリアミンを含む納豆なども見逃せない。


■現役でいたい!「精力減退」対策

この食材がおすすめ!
●アスパラガス

パワーを生み出すアスパラギン酸に富み、ミネラルの吸収やエネルギーの生産効率を高めて、スタミナ増強や疲労回復に効果を発揮。精力をアップする亜鉛、タンパク質の消化を高めて新陳代謝を促すムチンも豊富。

●レンコン
性ホルモンなどのホルモン分泌を調整して生殖機能を高めると共に、精子の数を増やすアルギニンやアスパラギン酸を多く含む。疲労回復や若返り、骨の強化にも効果。ネバネバ成分のムチンは精力回復に貢献する。

●クルミ
腎臓に働きかける作用が強く、精力増強や足腰を強化する効果がある。勃起不全や頻尿など、生殖器や膀胱のトラブルにも幅広く役立つ。性的なパワーアップだけでなく「健脳食品」としても優れた効能を発揮する。

弱った腎臓を補う黒ゴマで生命力と精力を高める
だるい、疲れが取れない、性への関心が薄い……などの精力の減退は、腎臓の弱まりが原因と考えられる。それは腎臓が、生命活動を支える精力を蓄え、コントロールしているからだ。

「弱った腎臓を補う働きに優れているのが、鹹味の食材です。塩、味噌、栗、黒ゴマ、海老やヒジキなどで、色の黒い食材が多いという特徴があります。これらは体を冷やすものが多いので、温性の食材と併せて食べましょう」
.
 他にも、肉類、魚介類、アスパラガスは、精力を高める亜鉛が摂れる。生殖機能を増強するビタミンEは、ウナギやゴマなどに多く含まれており、クルミは生殖器や膀胱に関するトラブルの改善に効果が期待できる。


■トイレが近い! 「頻尿・尿の出が悪い」(排尿障害)対策

この食材がおすすめ!
●海苔

腎機能を強化して尿の排出を促す働きに優れ、むくみやすい人、尿の出が悪い人におすすめ。生海苔は身体を冷やすため、食べ過ぎに注意。乾燥させた焼き海苔なら問題はない。皮膚や粘膜を保護する働きもある。

●スイカ

膀胱炎やむくみなど泌尿器系の症状に効果を発揮。カリウムを豊富に含んでいるため、尿の排出を良くする作用に優れている。身体を冷やす効果があるため、食べ過ぎには十分な注意が必要。

●ギンナン

尿の排出を抑制する作用があり、頻尿の改善に有効。中国ではトイレを我慢すべき時に食べる習慣がある。夜尿症の子供に食べさせる民間療法も存在する。むくみのある人や尿の出にくい人は過食は禁物。

尿のトラブル対策には腎機能を補う食材が最適
頻繁にトイレに駆け込むか、反対に尿の出が悪くなるのが、排尿障害と呼ばれる尿のトラブル。症状としては真逆だが、どちらも腎機能の低下によって起こる。原因が同じであるため、改善策も同じで、腎臓の強化がポイント。
腎機能を補う食材としては、山イモやクルミ、黒ゴマなどがおすすめ。

「それに加えて、尿の出が悪い人は利尿作用のある、小豆、黒豆、冬瓜(とうがん)、はと麦、スイカを摂るようにしましょう。下腹部や下半身を冷やさないように、ショウガやニンニク、ニラなど、体を温める食材と併せて摂るとさらに効果的です。反対に、尿が出過ぎる人は、体を温めて水分代謝をコントロールするギンナンやもち米を摂りましょう」

武 鈴子さん(食養研究家/東京薬膳研究所代表)
1970~85年、柳澤成人病研究所に勤務し、成人病と食生活の研究・指導に従事。「食は薬である」ことを実感し、食養の研究を始める。86年、中国四川省に渡り、薬膳師・孫蓉燦氏に師事、薬膳理論・料理技術を学ぶ。帰国後は日中医薬研究会会長・渡辺武博士の元で、東洋医学と日本の気候風土に合った薬膳理論を学ぶ。
現在は独自の「和食薬膳」を提唱し、各地で薬膳教室や講演を行う。著書
に『からだに効く和の薬膳便利帳』(家の光協会)など多数。

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