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【閲覧プチ注意】女子よりも、女子らしく…女性にも感じて欲しいレディボーイ(オカマちゃん)の輝き

ニューハーフと10年付き合ったある先輩の話

 地元の先輩に、ニューハーフの娘と10年付き合っていた人がいた。
 それって、どういう感じなのかしら。当時まだ20代で世間知らずだった自分にはニューハーフなるものがいまいちピンと来ず、先輩からいろいろ聞き出そうと試みたが「いやーハハハ」などといっていつも話を濁されるのがオチであった。
 まあしかし、普通ではないな。さすが先輩。といった感じで、よく分からないけれども一目は置いていた
 その先輩、実際普通ではなく、かつてビデオの宅配という特殊な仕事をしていた際、バイクで最新AVを鋭意お届け中にガードレールに突っ込み、頭を強打した過去を持っていた。
 なんでもその時に頭蓋骨に穴が空き、医者が「塞がなくても大丈夫」と言ったからそのまま傷だけ縫ったそうで、今も穴は開きっぱなし。図らずもトレパネーション(穿頭術)体験者となったわけだが、それからいろいろと考え方が変わったと言っていた。だからニューハーフに恋したのかどうかは本人が語ってくれないので謎のままである。

 ただ、後になって、自分にも分かったことがあった。ニューハーフ、というかレディボーイは確かにかわゆい
 アジアの盛り場巡りをするようになってから、折に触れて現地のレディボーイと交流の機会を持つ度に、見た目はともかく女子よりも女子っぽい彼女たち、もしくは彼らたちのなんとも言えない魅力に気づいてしまったのだ…。
 筆者にはダイバーシティがどうしたこうしたといった問題意識はまるで無い。性的指向もノーマルであると思っているが、単純に異性として(同性だが)、前述の先輩のごとくレディボーイに惹かれるものを感じるということだ。
 一体、何がどうかわゆいのか。伝わらない人にはとことん伝わらないテーマであると覚悟の上で、またいつもにも増して猥談度合い高めと承知しつつも、この場をお借りしてみなさんにレディボーイたちの愛すべき生態について語りたい。

性都・バンコクでレディボーイの魅力を識る

 タイに足繁く通っていた頃、ひとりのレディボーイと仲良くなった。きっかけはとある年末年始、友人とバンコクに遊びに行った時、ふらりと入ったレディボーイ専門のゴーゴーバー。今でも忘れない、2016年の大晦日の夜。そこで自分も友人も、禁断の一歩を踏み出してしまったのだった。
 タイはおそらく世界一と言ってもいいほど、レディボーイに寛容な国である。盛り場のゴーゴーバーやマッサージ店に限らず、オカマちゃんが普通に社会に溶け込んでいて、飲食店やもうちょっとお硬い業種なんかでも普通にレディボーイの姿を見かけることがある。ゆえに世界中の好き者たちがタイを目指すわけなのだが、そのような筋金入りのレディボーイ愛に満ちた人々に比べたら、自分たちはまったくの初心者であった…。店内に入ってとりあえず圧倒されまくった。ビジュアルレベルの高さと、オカマちゃんたちの熱烈アピールにである。

 性産業はどこの国でもそうだが、客だからと言って誰もが女性たちに歓迎されるわけではない。商売と割り切って表向き笑顔で応対してくれればまだいい方で、思いっきり邪険にされることすら無きにしもあらず。タイも例外ではなく、自分と友人は長期のタイ滞在でその洗礼をしっかり受けていた。
 ゆえにオカマちゃんたちの「私を選んで!」アピールが新鮮だった。店内に入った途端、水着姿でバッキバキにメイクを決めたレディボーイたちがステージから落っこちそうなほどに集まってきて「選ばれないと…アタシ、泣いちゃうんだから」「日本にこのまま連れて帰って〜♥」と言わんばかりの勢いで笑顔とセクシーポーズ、ウインクなんかの雨あられ。
 自分は、その中の一番かわいい子とお酒を飲むことにした。友人は何を思ったか、1対1で喧嘩をしたら間違いなくボッコボコにされそうな鼻息の荒い子を選び、しばらくしてその子と夜の街に消えていった。

女性として見られることのこの上ない喜び

 もちろんこういうお店はお金が絡む。だから彼女たちは、我々のようなモテない男のお相手をしてくれる。でもオカマちゃんはそこから一歩踏み込んで、選んでくれたことを喜び、それをこちらに伝えようとしているように思えた。
 これは後に六本木の超高級ショークラブで働くニューハーフの友人(日本人)から聞いて、なるほどと思ったことだが、彼女にとって一番の喜びは「男を自分に振り向かせること」なのだという。普通の女の子でもなかなか彼氏彼女の関係になれないようなイケメン、もしくは有名人ならばなおさら良し。これを自分は「本物の女に勝ったアタシ、どうよ」的な承認欲求が満たされるのだと理解した。事実、タイ人レディボーイの娘も、そんな雰囲気があったように思う。

 で、いろいろあって、心癒される時間を過ごした後に友人と合流したのだが、彼の目はうつろになっていた。
 おもむろに「相談があるんだけど」と言われたので、どうしたのか聞くと、要約すれば「あまりにかわいいから勢いで頼まれるままにフェラチオしてしまい、顔に出された精子が目に入ったんだけど病院行った方がいいと思うかどうか」。

…知らんがな。

というのが正直な感想であった。それにしても一応既婚者で、レディボーイと全く接点のない人生を送っていた彼をここまで変えるとは、やはりオカマちゃんにはノンケ男子の心すら揺るがす何かがあるのだと確信した次第である。

オカマちゃんの世界に国境なし

 ちなみに自分がその日出会ったレディボーイの娘とは意気投合して、バンコクにいる間に食事をしたり遊びに行ったりしているうちに、友達同士みたいな関係になった。帰国間際「次は日本においでよ」とか言っていたら、日本に帰ってしばらくして彼女は本当に東京観光にやってきた
 急遽ガイドを務めることになった自分だが、オカマちゃんが喜ぶ場所というものが分からず、新宿のオカマショーの店を案内した。これ、後から考えたら大失敗。彼女が求めていたのはおそらくディズニーランドとかそういう普通の女の子が行くような場所だったはずだ。しかしそこは微笑みの国タイランドからやってきたオカマちゃん、笑顔で付いてきてくれた。

 自分にとっても日本のオカマショーなどまったくの初めて。どうしたものか全く勝手が分からなかったが、タイ人レディボーイのお客さんは珍しいのか、ショーが終わるやいなやニューハーフの皆さんに囲まれた。パッと見、いずれも一騎当千の豪傑揃いといった感じの日本人ニューハーフのお姉さまたち。人見知りな彼女は視線を一身に浴びて恥ずかしそうにもじもじ。これがまたなんともかわゆい。
「やっぱりタイの娘はアゴのラインがシュッとしててきれいよね。日本人じゃいくら腕のいい先生に骨削りをお願いしてもこんな風になんないわよ」とはニューハーフのお姉さまの談。さすが目の付け所が違う。

 やがて、浅草サンバカーニバルにそのまま出れそうな格好の、ラスボス的な貫禄を漂わせるママさんが現れた。
「あたしも来月バンコク行くのよ。あなたどこの病院?」「その胸シリコン何cc入れてんの?
 てなことをタイ人に向かって日本語で話しかけるママさん。通訳した方がいいかしらとか思っていたら、彼女はもじもじしながらもタイ語でママさんと整形トーク、しかも言葉が通じないにもかかわらず何故か会話が成り立っている。嗚呼…オカマに国境なし。同じ道を歩む者同士、自分には到底入っていけない強い絆のようなものをふたりの間に感じたのだった。

はかないからこそキラキラ輝くレディボーイ

 
 さて余談はともかくとして、レディボーイはなぜ、かわゆいのか。
 花の命が短いように、オカマちゃんの旬もまた短い。限りなく女子に近づくためにホルモン注射や定期的なメンテナンス(整形)が欠かせず、それらをフルに行ったとしても、いつかは歳をとる。
 中年になったレディボーイは、女子からオバサンになれればいいが、往々にして外見的には小汚いおっさんに戻る。タイのゴーゴーバーに行くとその成れの果てとも言うべきクリーチャーたちがウエイター兼道化役を演じており、目の前にいるこのかわいい娘もいつかああなるのかと思うと戦慄を覚えてしまう。

 そんな逃れられない宿命を分かっているせいか、オカマちゃんたちは美に対する意識が普通の女子以上に強い。自分の見立てではレディボーイが手鏡を見る頻度はおそらくその辺の女子に比べて10倍以上。化粧や髪型、着るものもこだわり具合が半端でなく、自身の「オンナ」を1ミリも惜しむことなく全力でぶつけてくる。ゆえに、男心をくすぐる女の子のかわいい部分が、オカマちゃんには詰まっている。
 身も蓋もないことを言ってしまえばそれらはどこまで行ってもフェイクではあるのだが「それでもいいや」と思えてしまう自分が間違いなくいる。「もっとかわいくなりたい」という健気な心、そして笑顔からちょっとした仕草まで、生まれ持っての女子よりも全てが輝いて見えるのだった。 

 この記事は男性向けに書いたつもりだが、もしかするとレディボーイたちのまばゆいまでのかわゆさに敏感なのは、同性(異性だが)である女性の方かもしれない。
 タイのゴーゴーバーは、女性出禁ではない。女性が一人でふらりと訪れて一杯やっている姿はあまり見かけないが、男女グループの客は決して珍しくない。これをお読みになって関心をもたれた方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。オカマちゃんたちはきっと、笑顔で歓迎してくれるだろう。

<執筆者プロフィール>
■もがき三太郎
出版業界で雑誌編集者として働いていたが、やがて趣味と実益を兼ねた海外風俗遊びがライフワークとなる。現在は中国を拠点に、アジア諸国と日本を行き来しながら様々なメディアに社会問題からドラッグ事情まで、硬軟織り交ぜたリアルなルポを寄稿している。


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