女子大生社長・椎木里佳「出る杭を打つ文化を変えたい」ハンバーガーを食べて、抱いた決意。
孫正義をはじめとする多くの名経営者に絶大な影響を与えた
伝説の商人・藤田田(ふじたでん)。氏の著書6冊が装いも新たに、4月12日に新装復刊する。
若年リーダー層を中心に、多くのスタートアップやベンチャー企業が成功している半面、戦後の高度成長を支えてきた名だたる大企業が苦戦している現代の日本。1年先すらも読めない未来を生き抜いていかなければならないビジネスパーソンにとって、日本にマクドナルドを持ってきた藤田田のビジネスマインドや、その商法はきっと成功の一助となるだろう。
もちろん、それらを実行し、これからの日本を牽引するのは男たちばかりとは限らない。
女子高生社長として一世を風靡し、いまは女子大生社長として活躍されている椎木里佳さん(AMF代表)に、藤田田や経営について訊いてきた。
「平成が終わる『今』にも通じるお話が多くて…
正直、驚きました」
――― 今回の復刊目的の一つが「藤田田を知らない若い人や女性にも読んでほしい」なんですよ。
◆椎木 えっと…。実はわたしも藤田田さんのことを知らなかったんです(笑)。でも、今回のお話をいただいてから、調べて、じっくり読ませていただいて…本当に昔の本ですし、最初は「難しい本なんじゃないか?」というか「古い考えなんじゃないかな?」って思ってたんですけど(笑)。平成が終わる今でも十分通じるというか、「いいな〜」とか「そうそう!」と思うお話が多くてびっくりしました。
――― 具体的にはどんなところがいいなと思いました?
◆椎木 藤田さんは女性の重要性についてお話されているんですよね。今は違いますが、当時の女性は「消費の核」というか、こういうところに行きたいとか、これ食べたいとかを女性が決めている、と。「女性を心を掴めばビジネスはうまくいく」っていうのは今でも形を代えて通じるなと思いました。「女と口を狙え」って上手い表現ですよね。
――― この本を読んで、椎木さんの中で変わったことは?
◆椎木 藤田さんは「マクドナルド」や「トイザらス」を日本にもってきたキレキレの天才社長というイメージでした。著書を読んでみると、もうちょっと泥臭いというか人間っぽいというか、とてつもない努力をされていて、その先に強力な理論や戦略があって…やっぱり成功への近道はないんだなって思いました。
――― では椎木さんの「成功法則」って?
◆椎木 私は…いま21歳なんですけど、それよりも若い子たちから見てカッコイイ自分でいるっていうのを決めています。
――― なるほど。ちなみに「お金儲け」について考えたことあります?
◆椎木 そうですね。藤田さんはハンバーガーを日本食にしたじゃないですか? しかも、その「0→1」を海外からもってきたものでやったじゃないですか。それって言葉以上に難しいことだと思うんです。「食文化を変える」ってハードルが高いと思うので、それくらいのことを成さないと「大儲け」はできないですよね(笑)。
藤田田には無理だけど椎木里佳ならできること
――― 藤田田の様に「常識を変えたい」という気持ちはありますか?
◆椎木 あります! 私が会社を経営しているのは自分のやりたい事業や喜んでもらえる事業であることはもちろんなんですけど、それにプラスして、社会の空気感を変えたいっていう気持ちが根底にあるんです。若い女の子でも起業出来ることを実践して女性に対する考え方を変えさせたり…「女の子でも●●」っていうものをカルチャーとして浸透させていきたいと思います。
――― 具体的に変えたいなっていうのは?
◆椎木 変えたいと思うのは「出る杭を打つ」文化ですね。
――― 藤田田も露悪的な口調で叩かれた人なんですよね。
◆椎木 「出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は打たれない」って私が好きな言葉で、いろんなところでよく言っているんです。圧倒的な実績を持つ経営者を叩く人っていないと思うので、叩かれている自分はまだまだだと思って戒めにしていて、頑張ろうって思ってます。
――― 将来どういう風に生きたいか、どういう社長になりたいかを聞いてもよろしいですか?
◆椎木 以前は「上場したい」って言ってたんですけど、今は少し違うのかなと思っています。それって本質的じゃないなって。それよりも人に勇気を与えることの方が魅力的ですよね。まずは昔からの目標である「アジアの女性の代表になる」と「アジアで一番の会社になる」に向けてブレずにやっていきます。
――― こういう日本にしていきたいとかってありますか?
◆椎木 SNSでよく目にする「新旧の戦い」(笑)に顕著なように、多様化の時代ゆえに、それを良しとしない人もいっぱいいるわけですよね。若い人がそういうのを押しのけていけるようなサポートや、それを自分が先頭にたってやっていきたいと思います。
――― 女性も稼げる時代になった。椎木さんにとってお金って何ですか?
◆椎木 あるにこしたことはないとは思います。けど、お金が大好きというわけではないですよ(笑)。もちろん儲けや利益を追求することは大事なんですけど、それだけじゃ「昔」かなとも思いますし、藤田さんには絶対に勝てない。利益の先に、もっと社会的なことができないとダメじゃないのかって、最近はそう思います。
取材:BEST T!MES編集部 写真:永井浩
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