ー インディ・ジョーンズ ・アドベンチャーをもっと楽しむ雑学ー
子供はもちろん大人が夢中になれる夢の国・ディズニーシー。世界初、「海」をテーマにしたディズニーパークとして誕生し、今年9月には18周年を迎えます。ディズニーシー・マニアのみっこさんが、十数年間にパークに通って集めた、細かな雑学や効率的な楽しみ方、意外に知られていないテクニックやトリビアが詰め込まれた本『701回通ってわかった ディズニーシーで史上最高の1日を過ごす方法』を、今日から特別掲載(無料公開)していきます。「ワンランク上のディズニーシー」の楽しみ方を発見してください!
※本書の内容は2016年4月15日現在の情報をもとに構成しています。また、この内容は筆者独自の取材や見解に基づくものであり、公式のものではありませんのでご了承ください。
【隔日18:00に更新】
インディ・ジョーンズ ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮
インディ・ジョーンズ博士(以下、ジョーンズ博士)とともに、スリル満点の冒険を味わうアトラクション。神殿に入ってはいけないとジョーンズ博士が警告する中、彼の助手のパコが勝手に魔宮ツアーを始めてしまった……というストーリー。
基本情報
●猛スピードで走っているように感じるライド(ジープ)は、実は時速24キロ程度で意外に遅い(参考:「センター・オブ・ジ・アース」の落下時は最高時速75キロ)。暗い中を前後左右に揺れながら進むため、かなり速く感じる。実は「フランダーのフライングフィッシュコースター」(時速35キロ)より遅い。
●開園直後の時間は「トイ・ストーリー・マニア!」にゲストが集中し、また入口から距離があるため、空いている。
●入園ゲートからは、最短でも700メートル以上の距離があり、かなり遠い。体力のある人がファストパス取得に向かうべき。
●閉園間際になると急激に待ち時間が減ってくる。空いている平日の夜には非常に短い待ち時間で乗れることもある。
●キャンパスデーなど、学生が多い期間は非常に混雑する。
●撮影のタイミングは「大岩が転がってくるシーンで、ジョーンズ博士が天井にぶら下がっている場面、一旦ジープが後ろに下がった後、落ちる時」。カメラ位置は左側上方向。
●「タワー・オブ・テラー」と違い、カメラの位置を目で確認できない。
●「ジープの左側(ハンドルがある側)を支点にしてカーブする場面」が多いので、右側の座席のほうが遠心力が強い。
●アトラクションを終えて乗り場に戻る時、降車場は左右に分かれている。左側の場合は、すぐに写真のモニターがある場所に到着するが、左右どちらに降ろされるかは運次第。
●シングルライダー(空いた席にひとりで乗るゲストを優先案内するシステム)対象アトラクション。専用の階段は、秘境の雰囲気が味わえる。
遠い異国の地に物資を届けた日本の「ある大企業」
スタンバイ列の途中、ファストパスをキャストに渡す場所の少し手前に「ジョーンズ博士の作業机」があります。よく見ると、一番上に「日本語の新聞」が置かれています。
新聞の一面、中央の写真をよく見ると、日本人らしき人物の姿が見えます。この人物、実は実在する日本のメーカー「パナソニック(旧松下電器産業)」の創始者である、松下幸之助(こうのすけ)氏なのです。写真は松下氏が若い頃の姿。
なぜ、彼がここに写っているのでしょうか。
実は、ジョーンズ博士によるクリスタルスカルの魔宮の発掘に対して、松下電器が電気器具などの物資を提供した……という設定上のストーリーがあるのです。新聞には、松下幸之助氏自らこの遺跡を訪れ、引き渡しを完了した……と書かれています。
この物語は、同アトラクションのスポンサーである「パナソニック」の公式サイトにも掲載されていたことがあります。国内外を問わず有名なメーカーだからこそ実現した、グローバルなストーリーと言えるでしょうね。
アトラクション内に置かれた「日本の製品」
また、前述の博士の作業机の少し手前、左側にある「物置」のようなスペースには、木箱や電球が無造作に置かれています。電球が包まれた紙や箱をよく見ると、「National(ナショナル)」の文字が確認できます。
「ナショナル」はご存じのとおり、パナソニックの前身である松下電器産業が使用していた製品ブランド名。現在、この名前の製品は製造されなくなりましたが、家電製品を中心に長年日本で使用されていました。
新聞記事に書かれているように、同社から物資が運ばれたというストーリーが、こんな細かなところにまで再現されているのです。乗り場付近には、「National」のロゴが入った無線機のような機器も置かれています。
ディズニーには多くの公式スポンサーが存在しますが、ここまで細かなつながりやこだわりが表現されたアトラクションは、両パークを合わせてもほかに例を見ません。
博士の机の上にある新聞記事に書かれた彼の想い
松下幸之助氏のストーリー以外に隠されている物語を探るべく、今回、新聞に書かれた文字を「解読」してみました。高解像度のカメラで撮影し、文字をすべてテキスト化したものが、下の『KOKUSAI JOURNAL』の内容です。
遺跡を発掘中のインディ博士。クリスタルスカルに関しては、近づいてはならないと警告を発しているものの、「若さの泉」に関することは、口を固く閉ざしています。それどころか「若さの泉」が存在するという噂を信じる人々を、あざ笑う態度さえ見せています。
ただ、「若さの泉」が魔宮内に存在するという説に「ほとんどの考古学者が同意している」という一文から、インディ博士はその存在を知りながら、自分の言葉によって、多くの人々がこの地を訪れて災難に遭うことを避けようとしている……ということが想像できます。こんな部分からも、彼の人柄を伺い知ることができます。
『KOKUSAI JOURNAL』に書かれた内容とは・・・
①謎の古代文字解読される考古学者インディアナ・ジョーンズ博士が警告「水晶髑髏( どくろ)の怒り招くべからず」
【中米特電】
米国人の著名な考古学者であるヘンリー・インディアナ・ジョーンズ・ジュニア博士は、現在中米のロストリバーへ探検旅行を計画している人々に対して「水晶髑髏の魔宮に決して近づいてはならぬ」と警告している。
このような寺院には我々のような人間を近づけぬための罠が仕掛けられていることが多い。私の言葉を信じてほしい。未だ安全ではないのである。」
現地では、寺院に入った人間は決して神聖なる水晶髑髏の怒りを招いてはならないとの伝承がある。ロストリバー周辺に住む人々の話によれば、水晶髑髏は超自然的な力を持っているため、その怒りを招いたものには恐ろしい災いが降りかかるという。
寺院に刻まれた古代文字の解読に最近成功したジョーンズ博士もこれには同意見のようである。「水晶髑髏には超自然的な魂のようなものが宿っているそうだ。水晶髑髏は歓迎しない侵入者を寺院に近づけないための番人なのである。但し、そういうものの存在を信じているならの話であるが。」
ジョーンズ博士は水晶髑髏に関することにも、伝説にある「若さの泉」に関することにも、これ以上は口を固く閉ざした。ジョーンズ博士の助手であるパコという現地人の話によると、インディ・ジョーンズ博士は自分の言葉が引き金となって世界中の人々が「若さの泉」を求めてこの人里離れた中米に密林地帯にやって来ることを恐れているらしい。
②インディアナ・ジョーンズ博士 失われし魔宮を探索広がる噂 魔宮内に「若さの泉」が在る可能性
インディアナ・ジョーンズ博士は「若さの泉」と失われた水晶髑髏の魔宮を関連づけて話す人々をあざ笑って次のように語る。「私は科学者である。君たちが話していることはまるで土曜のマチネー(※)のようだ。」
しかしながら、現在魔宮内を調査中のジョーンズ博士が「若さの泉」の在処(ありか)を捜しているという噂があるのも事実である。考古学者の間では水晶髑髏の魔宮の重要性についてさまざまな意見があるが、「若さの泉」が魔宮内に存在するという説にはほとんどの考古学者が同意している。このような報道についてジョーンズ博士は依然として発言を控えている。
※「マチネー」とは、演劇や音楽会などの昼間興行のこと。お客が少なく、代役などによる公演であることから、博士の言葉には「考えや経験の浅い人たちが考えそうな話だね」という意味があると思われる。
③松下電器 密林探検隊にラジオや電気器具を提供
松下電器が密林探検隊に必要な電気器具類を提供することとなった。深い密林に覆われた水晶髑髏の魔宮に空中から物資を届けることは非常に困難であるため、魔宮の近くを流れるロストリバーを利用して船による輸送が行われた。
生い茂った密林、じめじめとした暑さ、熱病、突然のスコール、あるいは毒蛇やワニ、豹などといった野生動物が輸送時の障害となったものの、社長の松下幸之助氏が監督として直々に現地へと赴(おもむ)き、物資の引き渡しは無事に終了した。
☆現代かな使いにて表記。