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食べなくてもうまさが伝わる「下野山菜弁当」/宇都宮駅(小林しのぶの「駅弁含哺鼓腹」)

食欲をそそる見た目と香りに思わずにんまり

宇都宮駅

 松廼家(まつのや)は、「駅弁発祥の地」説もある宇都宮駅で弁当を売り続けて1世紀以上の老舗。昨今、肉弁当が話題になることが多いが、これは実にヘルシーな山菜メインの駅弁。

 ふたを開けると、山菜やキノコなどが美しくバランスよく詰められている様子ににんまり。派手さはないが、食材はどれも野山から摘んだばかりのように瑞々しい色と存在感。食欲をそそる穏やかな香り。食べなくてもうまい駅弁であることがわかる。

 ごはんは茶飯。上にシイタケ煮、しめじ、栃木名産かんぴょう、錦糸卵、甘栗、揚げエビ、姫筍などがのっている。箸休めにはふきのとう。野生的な苦味がちょうどよい。

かんぴょうは栃木名産

 仕切りの真ん中に置かれているのはグルテンミート。グルテンミートは、小麦粉から抽出したタンパクでこれをソテーにしたものが入っている。以前は鶏肉が使われていたが、肉の入っていない弁当を食べたいという消費者のニーズに応えて同社が開発した。

 食感は少し弾力性があり、肉ではないが肉と遜色ない味の良さ。さっぱりしていて、個人的には好みである。茶飯との相性もよい。ほかに姫筍のピクルスもうまい。

 多品種のおかずがあるが、エビ以外はすべて植物性食材。毎日食べても飽きない、駅弁の良品である。

下野山菜弁当 700円/松廼家 028-634-2426
http://www.ekiben-matsunoya.co.jp/
小林しのぶ
日本フードアナリスト協会評議委員。駅弁愛好家。

「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることら“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。 新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。著書に「全国美味駅弁 決定版」(JTBパブリッシング)、「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房)ほか多数。

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